講座報告06 鬼頭秀一著『環境倫理3.0へ向けてーSDGを超えて』に学ぶ

去る5月22日日曜の第6回予習講座の報告です。受講生は24名と少なめだったが、逆にグループワーク(GW)の余裕ができ、充実した2時間だった。今回は初めて三部構成にして、①講義、②GW、➂3名の受講生によるミニプレゼンと盛りだくさんの内容だった。

 

講義

予習の読み物だった鬼頭先生著の『全員参加の時代に環境倫理を問い直す』についての補足とまとめをした。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の17の目標の事であり、ミレニアム開発目標(MDGs)(2001~2015)が達成できなかった事業に取り組む一方で、経済、社会および環境における持続可能な開発をバランスの取れた、統合された方法で達成することを目指している。

環境の保全や持続性は、人間の社会、文化、経済と密接に関係しているようにSDGsの17の目標も密接に関係し、それぞれの課題が相互連関している。よって、人間と自然の関係性を文化や社会の中で統合的にとらえ、さまざまなレベルの社会的不公正を是正することで、それに関連する環境問題を解決していくという環境正義の理念が大切になる。

 

グループワーク

SDGsの目標2(食糧安全保障)、目標6(水資源の持続可能な管理)、目標9(強靭なインフラ構築)、目標13(気候変動及びその影響を軽減する緊急対策)の四つの目標から一つを選び、目標を達成するための活動や事業を考えるだけでなく、もう一つ掘り下げて、その事業がA社会的不公正を生じないか考えるという課題。

5つのグループのうち目標13を選んだ「なかよし」チームはCO2削減のために自動車の数を削減すると車社会の地方の住民は不便を強いられたり、風力発電を増やすと低周波被害なども増えるといった社会的不公正を指摘した。

同じ課題を選んだ「カーボン」チームは、主に都市の電力需要のために地方に自然再生エネルギー事業が実施されて地方の自然が壊される、プラスチック削減のために木材で代用となり、途上国の森林伐採が進むといった、都市と地方、国と国の間の不公正という二つの視点を指摘した。

 

「番匠の自然が大好き」チームは目標2を選び、さいきオーガニック憲章に基づく有機農業を推進した場合、大量生産ができず価格が上昇して消費者が困る、規格外品の選別で生産者が苦労する等の問題などがあげられた。

同じ課題を選んだチーム「紅一点」は、グローバルと日本(ローカル)レベルでの対策を考え、地産地消を進めると食料資源が乏しい地域(国)、あるいは食料輸入が困難な経済格差のある地域(国)はどうするのか、といった問題を示した。最後にチーム「安藤」は目標6を選び、身近な暮らしにおける安全な水の確保の例を挙げ、佐伯の水は「いつもきれい」という気づきと共に、JRなどが線路沿いに除草剤をまくことが地域の環境を汚し、社会的ジレンマをもたらす問題を指摘した。また、安全な水を保つための教育の大切さを強調したことは、大事な視点だった。

 

ミニプレゼンの実施

今回は有志の受講生による3~4分のミニプレゼンを実施した。

自然の中での野宿でアーシングに目覚め、裸足で自然を堪能する元電気・電波職人、ビールや農業を楽しみつつ、市民大学講座に出るたび元気とやる気がわいてくるという市の職員、大自然の残る宇目に住み、ネイチャーガイドやアウトドアライフを推進する仕事を心から楽しんでいる元地域おこし協力隊員の3人の皆さんの発表は皆個性的で面白く、大評判だった!

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