去る6月19日日曜の午後2時から東京大学名誉教授の鬼頭秀一先生をお招きして、「SDGsの物語をつくる」というタイトルでワークショップ主体の3時間の講座を実施した。
佐伯市長や教育長を含む38名が受講した。
前半1時間は鬼頭先生によるSDGsに関する講義と作業の方法の説明、後半はグループテーブルでの個人作業と各グループ代表一人による作業結果の発表となった。
講座内容
日本各地で同様のワークショップを実施された鬼頭先生から「この講座の受講生のレベルはとても高い」とのお褒めの言葉を頂いた。これも4月、5月と二回の予習講座をして準備してきた成果かもしれない。先生の講義の大事なポイントは以下の通り。
- 持続可能な開発(Sustainable Development)の開発とは語源から解釈すると「人間や地域社会の自然資源、人材、様々な潜在的な力を開花させること」。
- 皆が幸せで豊かになるためには、経済的豊かさと共に自然の限界を知り、社会的に公正な方法を追求しながら精神的豊かさも大切にすることであり、そのための目標がSDGs。
- 17の目標は統合的で不可分であり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会、環境を調和させるものだが、ばらばらに目標を達成するとトレードオフが起きる。便利で快適に見える経済や消費が見えないところで不公正や差別を生んでいることもあるが、統合的に取り組むことでその調整が可能になる。
- 今後の持続可能な開発とは、グローバリズムにゆだねてはならない地域の大切な資源や価値を堅持し、ローカルな地域社会や共感と信頼に基づく経済圏(非市場的領域)を、地域の自然環境と共生する形で構築することにより、グローバルな市場経済と適度な関係を維持することが可能になる
グループワーク
後半は6-7人一組のグループの中で、自分が関心あるSDGsの目標を選び、その目標と他の16の目標との関連性を考えてつなげ、物語化しながら模造紙に17の目標全てを配置していく作業をした。
そしてグループ内で一人一人がその物語を発表し、最後にグループ代表を一人選び、受講生全体の前で5人それぞれが自分の仕事や経験から出発したSDGsの物語を発表した。
それらは
①一日一食しか食べられない子どもたちとの出会いから飢餓をゼロに(目標2)
②自然教育・野外教育から広がる活動(目標4・14・15)
③起業する人を増やす(目標8)
④地球という基盤から目標を関連付ける(目標13・14・15)
⑤蒲江の過疎化を食い止める(目標11)
といった、自分の経験や仕事から生まれたもので、大分の宇宙港を利用するなどのアイデアも出てきて、それぞれ大変個性豊かだった。
こうして一人一人のSDGsの物語の面白さを学び、実感して講座は無事終了した。
コメント